LD=レーザーディスク、かつて映像規格の王者の座に到達し、そしてDVDの誕生と共に凋落して、前世紀の末には完全に生産停止した映像規格であります。このシリーズは、自分がコレクションとして保管している色んなアニメ作品のLDジャケットの鑑賞会的なもので、ついでに簡単な画質検証もやっていくという企画です、今回は『戦え!!イクサー1 特別編』(1987年)になります。
三行でまとめる『戦え!!イクサー1』
- 平野俊弘(平野俊貴)監督デビュー作、AIC産のロボアニメ1作目であり、80年代OVAの傑作でもあった。
- やや強引な話、美少女+ロボット+SF+怪獣ホラー+グロい描写+若干エロ要素を混ぜ合わせた独特なB級感。
- でも何故かどんどん観たくなる謎の魅力、これが…シンクロ?!
『戦え!!イクサー1』、全3話、美少女ものですが、「等身大ヒーロー+巨大ロボット」という特撮を彷彿とさせるような構成で、さらに渡辺宙明先生の劇伴を添え、もはや王道特撮になると思いきや、急にホラー展開になって、観てて少し人間不信にもなっちゃいそうなエグいシーン幾つかもありました、それでも終盤はしっかり熱くなり、そしてちょっと泣けるエンディングを迎えて、独特な魅力溢れる作品でした。
そしてちょっとややこしいLD版発売事情
本作最初の1巻目は1985年にVHSの形で発売された、当初は1巻完結のつもりで、わりと自由な作風で作りましたが、予想以上の人気が集まったので、続作の制作も本格起動、1986年にACT.IIとデイドリーム(メイキング映像)、1987年にACT.IIIも発売された、ここまではまだVHSしかなくて、ACT.III発売約半年後、初のLD化商品がこの『戦え!!イクサー1 特別版』です。特別版はVHSの全3話を1本に繋がって、全編再アフレコ、一部のシーン作画や使用BGM変更、そして完全新規シーン追加等、色んな意匠を施した最終バージョンとなっています、とはいえ旧作画も旧作画の面白さがあって(富士シリーズ搭乗員の作画等)、特別版だからといって完全に上位互換とは言えないかもしれませんね。その後1991~1992年に旧VHS版の内容を準拠する廉価版VHS & LD (それぞれ全3巻)、1998年に旧3話+特別編全部収録のLD-BOX版も発売されましたが、1986年のメイキング映像だけLD化されてないの残念でした…(DVDとBlu-rayには収録された)
発売順で整理してみた、最初のVHS 1巻目のタイトルにACT.Iの表記が入ってないので、本当に1巻完結のつもりだったよね
[VHS] 戦え!!イクサー1 (1985年10月19日)
[VHS] 戦え!!イクサー1 ACT.II イクサーΣの挑戦 (1986年7月23日)
[VHS] MAKING OF ICZER-1 デイドリーム (1986年12月20日)
[VHS] 戦え!!イクサー1 ACT.III 完結編 (1987年3月4日)
[VHS & LD] 戦え!!イクサー1 特別編 (1987年9月25日[VHS]/10月5日[LD])
[VHS & LD] 戦え!!イクサー1 ACT.I (1991年12月4日、廉価版)
[VHS &LD] 戦え!!イクサー1 ACT.II イクサーΣの挑戦 (1992年1月10日、廉価版)
[VHS &LD] 戦え!!イクサー1 ACT.III 完結編 (1992年2月20日、廉価版)
[LD] 戦え!!イクサー1 バトル・ボックス (1998年5月25日)
[DVD] 戦え!!イクサー1 コンプリート・コレクション (2000年12月24日)
[Blu-ray] 戦え!!イクサー1 Blu-ray BOX (2016年4月27日)
話を戻します、こちらのLDは2枚で4面構成、ジャケットは見開き形式、表紙と裏表紙はこちらです:
そして表紙裏、脚本家の会川昇氏による、読み応えめっちゃある解説文!
そして画質について、以下説明!
周知の通り、LDは大体DVDと同等くらいの画質と言われていますが、アナログ信号とデジタル信号の比較自体はあまり意味ないと思います、ここはあくまで「LD映像をブラウン管で観ればこんな感じだよー」「あえてデジタル信号に変換すればこう映るよー」という趣旨でやっています。使用機材は下記の通りで、使用映像は全編から厳選した一部のシーンとエンドロールになります。そしてこのシリーズはなるべくOPやED等ネタバレにならない部分を使用しますが、この作品はOP無でEDも単なる楽曲鑑賞になったので、画質参考として一部戦闘シーンの動画も用意しました、ではいきましょう!
LDプレーヤー:PIONEER CLD-R5
変換方式:S端子 → HDMI
キャプチャボード:ASUS TUF Gaming Capture Box-FHD120
エンコード解像度:1440×1080 (4:3)
検証ソフト:戦え!!イクサー1 特別編
ブラウン管直撮り← →デジタルへ変換後
イクサーロボ vs イクサーΣ(トドメシーン)
エンドロール
以上、『戦え!!イクサー1 特別編』でした、如何でしたでしょうか?今回のLD盤は結構いい感じで、ブラウン管直撮り写真をデジタルのスクリーンショットと並べて見てもあまり格差が出てなくて、実際のところ写真の画質が勝る場合も一部ありました、そしてイクサー1の話に戻って、LD以外にはDVDとBlu-rayもありますが、現在どちらも品薄状態でプレミアム価格になり、気軽に手を出せない感じなので(何ならこの記事を書いてる時点Blu-ray BOXの転売価格は30万円以上も行ってるんだ…)、もはやLD版が一番お手頃かもしれません(X)、何はともあれ、いつかDVDやBlu-ray版の公式再販が出来ればいいなと思います、伝説のOVAだからね~それでは!
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